ネット上では、プロアマを含めいろいろな話が飛び交っています。写真というのは所詮主観のものなので、写真の上手い下手、良い写真云々も主観によって違ってきます。プロの人にしてもそれぞれ考え方や活動されている分野が異なると違う意見になって来ます。
ただ写真の場合「カメラとレンズは高価なほど性能が良い」というのは共通認識ではないでしょうか。あとは、良い悪い重い軽い甘い精細などは感じ方や程度の問題というのがあるので、はっきりした話にはなりません。
写真を撮る要件というのは大きく分けて4つあるのではないかと思います。ひとつは機材、2つ目は技術、そして3つ目はセンス、4つめは経験です。
1.機材
ひとつ目の機材というのは、もうカタチと数値のあるものなので明解です。何度も書いていますが、値段が高いほど高性能だと言えると思います。重さ大きさの問題を別にすれば、高性能に越したことはありません。
2.技術
技術というのは、細かい部分では考え方によっても分かれてきますが、基本中の基本でいえば光の方向や被写界深度、シャッタースピードと露出と感度の関係性などの理解、そして被写体に関する知識というのも重要です。また画面構成なども技術に入ると思います。
あと、実際に撮るときの周辺のノウハウも技術の範疇だと思いますが、これは経験やセンスとも関わってきます。例えば、料理をきれいに撮るには写真の技術だけで無く料理そのものをおいしく見せるノウハウがあります。目様焼きをおいしく撮るには目玉焼きそのものを撮るのではなく、目玉焼きの黄身部分を取り去り生卵の黄身を載せるとおいしそうに見えるとか、料理にはそういう小技がたくさんあります。各分野でこういう小技があると思いますが、こういったちょっとしたことでも写真の出来が違ってきます。モデル撮影で言えば、モデルさんのスタイリングやメイク、ポージングなどもこちらから的確な指示ができるかどうかによって写真の出来が違ってきます。
3.センス
センスはとても難しい話です。なにがセンスが良いかという定義がない上に好みも入ってきます。センスが良いかどうかを判断するのは自分ではなく他人です。人によって好みが違い感じ方が違います。もちろん、すべての人が「センスが良い」と感じるのは素晴らしいことですが、そいういうことは少ないと思います。ある人には良いと感じても別の人にはさほど響かない。意地の悪い言い方をするとセンスの悪い人にはセンスの良さは分からないかも知れません。
ただ「センスを磨く」という言葉があるように、向上させることはできるのではないでしょうか。それには、高名な写真家の写真をたくさん見て、自分が感じる自分なりの「良い写真」の定義を持つことではないかと思います。この定義は自身が目指すところでもあると思います。これはとても重要で、この「目指すところ」が良くなければ永遠に上手くはならないワケですから。そのためにも常に「良い写真とは何か」を考えることも大切なのではないかと思います。
今のカメラはカメラ自体が最低限ちゃんと撮ってくれるので、センスがあればある程度良い写真が撮れるとも言えます。センスの悪い人が高級カメラで撮るよりも、センスの良い人が初級カメラで撮る方が「良い写真」が撮れるかも知れません。センスの良い人が高級カメラで撮ると最強ですね。
プロであっても同じです。センスの悪いプロ(プロだから全員センスが良いとは限りません)がフラッグシップ機で撮った写真と、センスの良いプロが中級機で撮った写真と、アートディレクターがどちらを選ぶかと言えば後者の確率が高いです。そういう面で、特にアマチュアは機材絶対主義にならない方がよいと思います。
アマチュアの人が、アマチュア仲間の写真を批評しあっているのを見聞きしますが、それはそれで良いことかも知れませんが、アマチュア仲間の写真が本当に「良い写真」なのかは分からないと思います(良いと感じるから良いのだとも言えますが、それは完全にご自身の定義が確立している場合だと思います)。あくまで高名なプロの写真をたくさん見て目を肥やすことは大切だと思います。
4.経験
最後の経験。これはプロでもアマチュアでも経験値を積み重ねた方が良い写真が撮れるはずです。そういう面では場数を踏むのは大切だと思います。物事は経験してみないと分からない事は多いです。経験することで自分なりのいわゆる「間尺」(勘)というものができてきて、良い写真を撮る道筋が見えやすくなってくると思います。プロは当然経験値が高いので「間尺」の精度が高いわけです。そういう面でプロの主催する撮影セミナー的なものに参加するのも手軽にプロの経験値を得られるのかも知れません。
まとめ
機材に余りお金をかけられないアマチュアは、とにかく技術とセンスと経験を磨いていくしかありません。別の記事でも書いていますが、プロが高性能な機材を持つのは「良い写真を撮る」とは別の理由もあります。「気軽に撮影を楽しむ」という視点からすると、機材に凝るよりも写真展を見にいったり撮影旅行やレンズを増やしたりする方が技術やセンスも経験値も磨けるのではないでしょうか。第一、その方が楽しいと思います。もちろん高級機を持って操作する方が楽しいという人はそれはそれで良いとは思いますが。
何が言いたいかというと、ネットで氾濫する機材主義的な情報にあまり感化されない方がよいのではないかと言うことです(機材情報は参考にはなると思いますが)。究極、写真はセンスです。美大で絵やデザインを習ってきた人、あるいはグラフィックデザイナーなどは、写真を余り撮ったことがなくても初級者カメラやスマホでセンスの良い写真を撮ったりします。それは構図やアートディレクションという表現の組み立ての感覚が身についているからです。アマチュア写真家は機材に凝るよりもそういう勉強をした方が「良い写真」が撮れるのではないでしょうか。ただ趣味で撮る写真は、究極は「自分がよいと思ったらそれで良い」というものでもあるので、いかに自分が楽しめるかを追求するのがよいと思います。

