最近は、スマホでも背景ボケを調節できるようになって、特に写真趣味の人でなくても背景をぼかすと良いという概念が広がりました。ただ、やたらぼかしたらいいかというとそういうことでもなく「いい感じのボケ」というのがあるわけで、それは技術でもあるし好みにもよります。また、背景だけでなく「手前ボケ」というのもあります。そのあたりも含めてボケを考察します。
ボケを作るには、3つの方法があります。
1.被写体と背景の距離を離す。
2.被写界深度を浅くする。
3.望遠レンズを使う。
4.カメラとぼかしたいモノを近づける(手前ボケ)の場合
実際は、1つの条件だけがあるわけではなく、2つ以上の複合条件でボケが変わります。

1.被写体とぼかしたいものの距離を離す。
写真に関する情報などでボケの話が出ると被写界深度の話になりがちですが、単純に言えばピント位置との距離です。ボケるというのは、要するにピントが合ってない状態なのでピント位置から離れるだけボケるわけです。ですから、被写体とより離れている背景物はボケやすいということです。逆に近すぎるとボケません。その際に留意しておきたいのがカメラの絞り(被写界深度)です。
背景の距離があっても被写界深度が深い(F値を高くした)場合は、ボケは弱くなります。どのくらいが良いかは、F値を変えながらいくつか撮ってみると良いです。カメラのモニターでは細かいことは分かりませんので、パソコンで確認しましょう。
2.被写界深度を浅くする。
被写界深度は一般の人はほとんど知らないと思いますが、こだわって写真を撮るなら被写界深度の知識は基本中の基本です。こちらでも説明しています。背景の距離が近いときは、F値を最も低くして(絞りを開ける)撮ることで被写界深度が狭くなり、背景がボケやすくなります。その程度については、レンズの焦点距離や開放F値によって異なります。
3.望遠レンズを使う。
レンズは望遠(焦点距離が長く)になるほど被写界深度が狭くなります。これはレンズと光の物理的な特性です。背景との距離を確保しにくい場合や環境が明るくて絞りを開放にしにくい場合は望遠を使うことで背景をぼかしやすくなります。
雑誌やカタログのモデル写真でモデルだけが浮き出て、街の背景がボケているのは、300mm以上の望遠レンズで撮っているからです(圧縮効果も狙っていますが)。
望遠レンズによる背景ボケは、レンズの特性上必ず起こるので、ある意味手軽に背景ボケが得られる方法と言えるかも知れません。ズームレンズなら、焦点距離も調節できるのでボケ具合も調節できます。ただ、この際もF値による被写界深度は影響しますので、留意しておく必要があります。
4.カメラとぼかしたいモノを近づける(手前ボケ)の場合
背景だけでなく、手前にあるのもをぼかすという手法もあります。室内などでは、手前ボケや背景ボケがあることで、その場の空気感が表現できるので効果的です。手前のボケは、ピント位置から遠いところ、つまりカメラに近づくほどボケるワケです。この場合も被写界深度が影響することをお忘れなく。
ボケの中身について
ボケの程度
3つの方法の組み合わせによりボケが生まれるわけですが、そのボケが「いい感じ」になるかどうかは、ボケの程度によって違ってきます。
特に料理や花など背景が近い、あるいは狭い範囲の被写体を撮る場合は、F値などの少しの違いで、ディティールの出方が違ってきます。ボケボケになって雲の中に居るようなのが良いのか、ある程度背景も見えている方が良いのかは、写真にも好みにも寄りますので、何が正しいかというのはありません。それこそセンスだけの判断です。そこが面白いところです。
正解のあることは、正解に到達してしまうと終わってしまいますが、主観に委ねる写真には正解はありません。ひたすら好みの世界を追い求めていけば良いだけです。
<背景のボケ具合による変化>
同じシーンでの比較。F値が小さくなるほど背景がボケて、カワセミが背景から際だって写ります。F値が大きく背景のボケが弱いとごちゃごちゃした背景にカワセミが混ざってしまいます。



<ボケ具合の調節>
録りたいイメージによってボケ具合を調節。



単焦点レンズのボケの質
ボケの質というのはなかなか難しい細かい話なのですが、ここで登場するのが単焦点レンズです。ズームレンズと単焦点レンズを比較すると、単焦点レンズの方がボケがきれいなのです。この「きれい」というのも表現が難しいですが、ズームレンズでは、レンズごとに何らかのクセのようなパターンが出てくるのです。よく見なければ分かりませんが、それはズームという複雑な機能上しかたがない事です。単焦点レンズはズームレンズに比べてレンズ構造がシンプルなので良いボケになるようです。
ですので、ボケのきれいな写真を撮りたいなら、ぜひ単焦点レンズを使ってみてください。被写界深度による変化も出やすいです。
<単焦点レンズの場合>
明るいレンズを使うと大きなボケが得られる。F10とF1.8の比較。


これらの手法をうまく使えばボケによって、その場の空気感をいい感じに表現できてステキな写真になります。自分の好きなボケにコントロールするのは経験を重ねるしかないので、ボケを意識しながらいろいろ撮ってみることをお奨めします。

