野鳥を撮り始めて数年の私が言うのはおこがましいのですが、その程度の経験でも野鳥を楽しんで撮るには、それなりのノウハウと機材が必要だということが分かりましたので知り得ている知見をご紹介します。
近年カメラの性能がアップし、野鳥撮影がやりやすくなっていると思います。そのせいかどうか分かりませんが、野鳥撮影をする人が増えているような気がします。まあ、私もそのひとりなのですが(笑)野鳥撮影には鳥を待つという時間がかかるので、現役を引退された高齢者の男性が多い傾向見受けられますが、女性や若い人もいます。女性でも大砲のような望遠レンズで撮られている人がたくさんいます。
どんな野鳥の写真を撮るか
野鳥撮影と言っても程度や分野の幅がいろいろあるので、人それぞれにマインドは違うと思います。
1.珍しい鳥を追い求めてあちこち遠方まで撮りに行く
2.あくまで近くの野山で撮れる野鳥を撮る
3.あるいは近所の川や公園に来る鳥を撮る
4.さらに飛翔や餌取り、餌やりなど野鳥のアクティブなシーンを狙う
5.ある面アートのように美しい風景として野鳥を撮りたい
などなど、いろいろな面があり、4などは機材のグレードがものを言う分野です。
野鳥撮影の基本
野鳥をちゃんと撮るには、機材のハードルが少し高くなります。野鳥撮影の標準レンズは500mmだと言われます。それだけでレンズに少し投資をしないといけないことが分かります。そして、連写機能に優れたボディが必要です。これもエントリーモデルでは難しいことが分かります。

ただ、近くの河川や公園で鴨やサギなどの比較的大きな鳥を撮るだけなら300mmくらいでも大丈夫です。そこにセキレイやカワセミ、ツグミなどの小鳥が混じってきてそれもきれいに撮りたいと思ったりするので、もっと長い望遠レンズが欲しくなってきたりします。
つまり、野鳥撮影を「楽しめる」レベルで行うには、概ね中級クラスの装備が必要になるということです。それなりに大変ですが、それらの機材でファインダーから見る野鳥たちの動きは、肉眼で見るのとは全然違って楽しいものです。望遠鏡で見ているようなもので、しかもそれを写真にして残せるわけです。カラフルな鳥や面白い鳥、実にいろいろな野鳥がいます。近所の川や裏山、公園など身近な場所でも目を向けてみると意外にも身近にいろいろな野鳥がいることを発見します。
望遠レンズ
例えばカワセミなどは、スズメくらいの大きさです。近づくと逃げるので、離れて撮ることになりますが、そのサイズのものを離れたところから撮ろうとすると最低500mm位はないと大きく撮れません。500mmでも足りないくらいです。テレコンバーターを使って焦点距離を伸ばす方法もありますが、AF機能が少し落ちるので天気の良い日でないとうまく写せないかも知れません。後述しますが、焦点距離を稼ぐ点でAPS-Cやマイクロフォーサーズの機種には利点があります。
ボディ

カワセミに代表される動きの速い鳥や、飛んでいるところを撮ろうとすると連写性能がものを言います。連写できないとなかなか良い瞬間を撮ることができません。また、連写機能については注意点があります。カタログなどでは初級モデルでも1秒数コマと書かれていて、連写ができそうに思いますが、実際は充分にできません。それは、バッファと言われる「データを一時的にためておくメモリ」の容量が小さいからです。初級モデルでRAW撮影で連写をするとすぐにシャッターが切れなくなってしまいます。肝心なところでシャッターが切れないわけです。もちろんそういうシーンを撮らない、あるいはJpegだけで撮影するのであれば、エントリーモデルでも可能です。しかし、別の記事でも書いているようにRAWデータで撮影する方が良い写真にしやすいです。
機材の考え方

野鳥の撮影をどこでするかによっても機材の選択が違ってきます。クルマで都市公園や森林公園などに行き、そんなに移動せずに撮るなら、しっかりした三脚とハイエンド機が良いと思います。しかし、山や川を歩いて移動しながら撮るなら大きくて重い機材はフットワークがよくありません。
その点でメリットがあるのが、APS-Cやマイクロフォーサーズのハイエンド機です。まず、本体がフルサイズ機より小さくて軽い。そして、レンズの焦点距離が1.5倍~2倍になるので、小さい野鳥を撮るのにとても有利になります。また、機材の価格がフルサイズに比べて安くなります。
実際に撮ってみると分かりますが、カワセミなどはフルサイズの600mmでもなかなか大きくは撮れません。しかし、600mmをAPS-Cに使うと900mmになります。この差は非常に大きいです。また、フルサイズの機材だと数十万円になりますが、APS-Cだと半分から3分の2程度で収まります。フルサイズカメラにはクロップ機能というのがありAPS-C的に撮れますが画質は落ちます(ニコンのサイトにも書いてある)。
一時期(今でも?)、ニコンのD500と純正の200-500mmの望遠の組み合わせが野鳥撮影の最強だと言われて、多くの方が使われていたと思います。D500はAPS-Cのハイエンド機ですが、フルサイズのハイクラス機と同じ画像エンジンを使っていて描写力が素晴らしいカメラです。それにAPS-Cなので500mmなら実質750mmになります。さらにD500には1.3倍のクロップ機能があるので最大975mmとして使えたりします。そして、機材の重量がフルサイズ機に比べて軽いです。

この機材は、野鳥を撮るプロの方も使っていて奨めていました。今なら中古などでかなり安く手に入ると思います。
OMシステム(オリンパス)は、マイクロフォーサーズなので600mmのレンズをつけると実質1200mmになります。またボディも小さくで軽いのでこれは野鳥撮影には非常に有利です。
三脚か一脚
最近のモデルは望遠レンズが軽くなっていたりするのに加えて、手ブレ補正の性能も向上し、500~600mmのレンズを手持ちで撮られている方も多いです。オリンパスの新しい機種(2024年2月現在)は天体も手持ちで撮れるとPRしています。

しかし野鳥撮影は場所を決めて待っていたり、飛ぶのを待ったりすることが多いので手持ちだとしんどくなります。また、置きピン(予想される場所にあらかじめピントを合わせておくこと)などで待つときも手持ちでは不便です。
そのために三脚か一脚が必要になります。一脚は概ね軽いですが、三脚の機種の選択が悩むところです。安定性の良い三脚はいくらカーボンといっても大きく重くなるので、移動の負担になります。また三脚自体は軽くても雲台が重い場合もあります。小さな自由雲台が軽くて良いと思っています。
私自身は、三脚は「手持ちの補助」(=手持ちよりまし)的に考えていますので、安定性より携帯性を重視して選択しています。それで歩き回って鉄道も撮るのでとにかく重くて大きいものは不便なのです。これは考え方のひとつですので、個人個人でマッチする選択は異なると思います。
照準器
野鳥を撮られている方で照準器を使っておられる方がいます。主に固定焦点の望遠レンズの場合に必要になると思います。500mm以上のレンズになると画角が狭いので、鳥が画面から外れるとどこに行ったか分からなくなり探すのに苦労します。その時照準器をつけていると目視による広い視野と照準器(レンズと狙いをあわせておく)で場所が確定できるので見つけるのが早いです。ズームレンズの場合は、一旦引いて見つけてから寄ることが出来るので必ずしも照準器は必要としないと思います。
照準器もピンキリで、数千円から何万もするものがあります。比較したことがないので違いが余り分かりませんが、高額な照準器でも結局都度位置合わせをしないといけないので、使い勝手は余り変わらないようです。私はネットで調べて安価なサバイバルゲーム用の照準器に取付パーツなどを組み合わせ、狙いを合わせやすいモノを自作して使っていたので安価(4千円程度)で調達していました。しかし、固定焦点の望遠を使わないので使っていません。


周辺情報
野鳥撮影の楽しさ

ネットを調べていると、野鳥を追いかけている人の半分はカワセミを追いかけていると言われるほどカワセミは野鳥撮影のベーシックなのかも知れません。レンズのパンフレットなどにもよくカワセミの写真が使われています。野鳥撮影=カワセミという象徴性があるのですね。
面白いのが「野鳥を撮るということと、カワセミを撮ると言うことは別世界だ」というようなことも言われているようで、それだけ奥が深いということでしょう。
とにかくカワセミは小さくて動きが速くて難しいですが、とても美しく愛らしい鳥です。おまけに水に飛び込んで魚などを採って丸呑みするという生態も非常に面白い鳥です。しかも、山奥に行かなくても、餌のある水場なら都市公園やドブ川のような川にも飛来します。しかし、決定的瞬間を写真を撮るのはなかなか難しい手強い鳥です。
その他、珍しい鳥に出会えたときの感動もなかなかのものです。図鑑でしか見たことがない鳥がファインダーの中に見えると「こんな鳥が本当にいるのだ」という感慨があります。
情報と行動
ここにご紹介した装備の他、野鳥撮影には野鳥に関する情報が不可欠です。渡り鳥はいつ来るのか、いつごろ子育てをするのかなどなど・・・どこにどんな鳥がいてどんな生態を持っているのか。それによって探し方や撮り方も違ってきます。

また、山の中に行く場合は、マダニやマムシなどの対策も必要です。手始めに大きな都市公園に行って見ると良いのではないでしょうか。大きな都市公園にはたくさんの野鳥が来ますので撮影されている方がいます。何度となく足を運んで知り合いになっていくといろいろ情報を教えてもらえたりします。
野鳥は、鳥によってはハードルが高いのでそれなりのノウハウが必要であり、色も美しいものが多く写真撮影の楽しさを味わえる被写体ではないかと思います。
ただ、有名なスポットには多数のカメラマンが集中しトラブルが発生したりもします。譲り合いや社会的なマナーをもって撮影に臨むことが大切ですね。ムリや自己中心的な行動は慎むようにしなければならないと思います。また、人間の勝手な趣味で自然を壊したり野鳥の生態を乱さないようにする配慮も必要だと思います。

