写真を撮る上で制約を受けるのが画面比率と構図(画面構成)です。画面比率によって構図も制約を受けます。こういったことは、あまり意識してない場合が多いと思いますが、少し意識すると写真がよりステキになったり新鮮な写真を撮るアイデアが生まれて楽しくなります。
画面比率について
構図の考え方で、一般的にあまり書かれていない大事な要素があります。それは画面比率のことです。一般的な構図の話では、あくまでカメラのファインダーの比率を前提に書かれています。
ここでひとつ考え方が分かれるのです。
1.カメラのファインダーの比率で考えるのか
2.自由な比率で考えるのか
2は、トリミングすることを前提にしています。インスタが正方形だったり、動画が16:9の比率だったり(動画ではアスペクト比と言います)、いろいろな比率の映像があります。そんな中で写真の比率が固定化される必要はないと思います。撮りたい写真には、その写真に最適の比率があるはずです。撮った後に仕上げる際にトリミングすると最適の画角にできます。ムダな余白がなく、被写体を一番良い状態で写真に収めることができます。
メディアの写真(参考情報)
余談ですが、雑誌やカタログなど印刷物のデザインでは、写真はカメラの比率のまま使うのではなくレイアウトに応じてトリミングするのが当たり前です。そのため、カメラマンには「引き気味に撮って(=トリミングできる余白をもって撮って)」とお願いすることが多いです。
特にWEBに使う場合、トップページやヘッダーなどに使う写真は非常に横長の比率が多いので、通常の画面比率でバランスを考えられたら、非常に使いづらいということになってしまいます。ですからカメラマンから納品された写真自体は、構図的には余白が大きいバランスが悪い状態です。しかし、そうやって撮っておくとレイアウトによって縦にも横にもトリミングできるワケです。そうやって最終的に誌面やWEBサイトの中で上手く収まるようにトリミングします。もちろん、カメラマンが最適のバランスで撮った写真を使う場合もあります。それらは、レイアウトやテーマに寄ります。プロが撮った雑誌の写真は、そうやってトリミングされている場合も多いのでカメラや撮影現場だけでは考えられないのです。
また、雑誌のタイトル部分の写真や宣伝物の写真は、タイトル文字を入れることを前提にした構図やトリミングという場合もあります。そういう場合は「横にタイトルが入るので空間を作って」という風にあらかじめカメラマンにオーダーする場合もあります。写真だけで見ると、人が立っていてその横が不用意に空いた構成だとしても、そこにタイトルが入るとバランスが安定し、写真の上にタイトルが載ったステキなグラフィックデザインになったりします。
こういう考え方を趣味にも取り入れたら良いと思います。トリミングを前提に撮っておけば、場合によってはひとつの写真から縦と横と2通りのトリミングが成立し、2通りの作品ができあがります。これもまた新鮮で面白いことです。また、過去に撮った写真をトリミングし直すことで、新しい写真になったりします。
このように、構図をカメラの中だけで考えずに、仕上げ段階でトリミングすることを前提に撮れば、現場での構図に囚われずに、面白いアングルなどでガンガン撮れば良いのです。そうすると、仕上げの作業がもっと楽しくなります。
構図について
一般的には下記のような構図が基本としてあげられています。ただ、実際には、こういった枠組みに加えて、色の重さ(彩度)、造形のシェイプ、方向、大きさなど、様々な要素が画面のバランスに影響します。要は、画面全体のバランス、あるいは視覚的ベクトルを調和させるということですので、画面割りの枠だけでは語れないのです。総合的にバランスの良い構成が大切だということになってきます。

だから構図の枠組みはあくまで基本的なガイドラインと考えるのが良いと思いますし、こういった構図の枠組みは誰もがなんとなく分かっていると思いますので、通常はことさらに意識しなくても良いのではないかという気もします。画面全体が、なんかまとまらないなぁとか、右側が重いなあなどと感じたら、ちょっと構図のパターンを思い出してみたら良いのではないでしょうか。
カメラのファインダーには、タテヨコ3枠ずつの格子(グリッド)が出るようになっていると思います。これを利用して取るのが便利です。水平は、多少狂っていてもRAWデータを現像するときに自動で調整する機能がアプリについていると思います。また、構図だけでなく、背景を工夫し、被写体を際立たせるなどの奥行き方向も写真のバランスに影響します。
画面比率とトリミング
仕上げ段階でのトリミングで写真の構図が大きく変わることもあります。また、インスタに上げるなら、正方形を意識して撮るということも一興かも知れません。動画と同じ16:9も同じ写真が新鮮に蘇ります。映画などでは、いくつかの種類があり最も扁平なサイズでは2.35:1などもあります。映画の比率でトリミングすると映画のワンシーンのようなムードになるので、最初からそれを想定して撮ると効果抜群です。企業のPR動画でも、あえて上下に黒い帯を入れて映画的な比率で編集する場合もあります。このようにカメラの比率に囚われずに。いろいろなイメージでトリミングして写真を仕上げれば写真がさらに楽しくなります。


高さのアングル変化
画面構成は、左右だけでなく、高さの変化も可能です。普通に立って真横から撮るのと、下から撮るのと、上から俯瞰するのでは、まず背景が大きく違って来ます。そして被写体のパースペクティブ(遠近感)が違ってくるので被写体自体の造形も変わります。これらはレンズによっても変化の仕方が違います。もし、高さの変化も可能な状況なら、いろいろ撮ってみると新鮮なアングルが見つかる場合があります。





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