一眼レフやミラーレス一眼で動画を撮るのは、スマホやいわゆる家庭用ビデオカメラで動画を撮るのとは少し勝手が違います。それぞれにメリットデメリットがあります。その特性を知った上でデジタル一眼で何をどう撮れば良いかをあらかじめ考える必要があります。
動画を撮る4つのカメラの特性
スマートフォン
今や動画を撮るのに1番手軽なのはなんと言ってもスマホです。あの薄い筐体で信じられない高画質の動画が撮れます。かつてiPhone4が登場した時にiPhoneだけで撮った映画というのも公開されました。それからさらに進化していることは間違いなく、恐るべき技術の進化と言えます。最大の欠点はレンズ交換ができないことです。機能としてのデジタル望遠は画質が落ちてしまいます。望遠やワイドのレンズを備えた機種もあるので、そういう機種ならかなり表現は広がりますが実装されたレンズの範囲でのことなので制約は生まれます。とは言え、スマホだけでもかなり凝った動画制作ができると思います。
家庭用ビデオカメラ
かつては動画の花形だった家庭用ビデオカメラも動画を撮るために作られているので手軽と言えば手軽です。しかし家庭用ビデオカメラは誰もがキレイに撮れるようにどこにもピントが合いやすくなっています。反面ボケが作りにくいところがあるので、画面の味わいが作りにくいところがあると思います。「誰もが手軽に」が最優先なのでそういう仕様になってしまいます。また、長時間撮り続けられるというメリットもあります。
コンパクトデジカメ
コンパクトデジカメも動画の機能を備えています。拡大率の高いズームを備えているものもありますが、筐体が動画撮影しにくい(ぶれやすい)のと、この分野はスマホに取って代わられているので、あまり存在感はありません。しかし、もしコンパクトデジカメがあるならサブカメラとしての活用方法があります。おって他の記事でご紹介します。
デジタル一眼
かつてはデジタル一眼における動画はおまけの機能程度だったと思いますが、最近のデジタル一眼は動画機能も充実しています。後述する理由からニーズが高まっているからだと思います。
デジタル一眼で動画を撮る一番のメリットは、レンズ交換ができることと、ボケをうまく使えることです。その二つの点でスマホや家庭用ビデオカメラでは撮れない映像を撮ることができます。映画のシーンのような空気感や味わいのある動画を撮るには一眼レフが手軽です。
商業動画(企業のPRなど用)のプロの現場でも「映画のシーンのような」趣のある動画を撮る場合はデジタル一眼を使うことが多いのです。映画を撮るシネカメラというのはとても高価で、周辺機材も大掛かりになりコストが高くなります。また、いわゆる業務用のビデオカメラは、動きながらの撮影には便利なのですが、高価な上に家庭用と同様にどちらかというとすべてにピントが合いやすくなっているので味のある映像が撮りにくいわけです。
デジタル一眼なら装備がコンパクトになりコストも安く、また使い慣れているカメラで撮れるので手軽なわけです。部屋撮り中心の有名なYouTuberもほとんどがデジタル一眼で撮っているのではないでしょうか。動画でも画面の作り方は静止画と同じなので、扱いも慣れているしイメージした画面を作りやすいわけです。ボケを生かした味わいのある動画を手軽に撮ることができるのが最大のメリットだと思います。
✳︎デメリット
デジタル一眼で動画を撮るデメリットは素の手持ちでは撮りにくいことです。基本は三脚、手持ちの場合は揺れないようにジンバル(スタビライザー)などに装着しないとブレて映像になりません。手ブレしている動画ほど見づらいものはありません。
また、バッテリーやカメラの仕様の問題もあり長時間の撮影ができません。必要な画質で撮るとなると概ね30分が限界ではないでしょうか。しかし一般的な動画においてワンカットをそんなに長時間撮ることはまずありませんので実際問題にはならないと思います。
どんな動画にしたいか
動画は写真と違って時間軸があります。また同じアングルでは退屈なので、アングルを変えたりシーンも変わっていきます。そして編集が必要です。そういう面で写真とはまた別世界だと言えます。しかし1分ほどの動画であっても、大好きな猫を撮って適切に編集された動画は写真では得られない空気や味わいがあるものです。まずは1分動画から始めてみてはどうでしょうか。
編集について
動画というのは編集しないとなかなか楽しめるものになりません。編集なしのYouTuberもいますが特殊であり、そもそもの動画の在り方が違います。編集次第で動画はかなり違ったものになります。
動画では、映像のほかに音声はあるのかテロップはあるのかあるいはアニメーションや特殊な効果はあるのかなど要素や効果は多彩です。しかし趣味の写真と同じように楽しむ動画撮影と言うことになると基本は画面と音声(BGM含めて)、文字はタイトルとひと言キャプションくらいと言った感じではないでしょうか。それだけでも充分楽しめるものです。
動画編集作業
コンテは必要なのか?
一般的に普段の動画を作るのにコンテ(動画の構成案)などつくりませんね。しかし、少し凝った作品的な動画を作る場合はコンテがある方が失敗が少ないと思います。Youtuberなども多くの人が基本的にはコンテや構成案、台本などをつくって制作すると言っています。それによって自分の頭の中も整理できるからです。
そうしておかないと、どんなカットを撮れば良いか現場で迷ったり、必要なカットを撮り忘れたりします。商業映像のように目的を持った動画を作る場合は、動画の流れを依頼者やスタッフと共有するためにも必ずコンテを作ります。プロの現場ではさらに、コンテのほかに香盤表と言う、コンテの流れとは別に撮影の段取り優先で整理した撮影スケジュールを作ります。同じ背景や小道具のカットはまとめて撮る方が効率が良いからです。ときどきドラマを撮影中の俳優さんがインタビューなどで待ち時間に「どこを撮っているのか良く分からない」と言っていたりしますが、撮るシーンが必ずしもストーリーの進行と一致していないからです。
ひとりで作る趣味動画とは言え、イメージが固まっている動画の場合はこう言った作業資料を作る方がうまく行きます。
コンテを作らない場合
なんとなくのイメージしか決まってない場合やとりあえず猫が可愛いから撮りたいと言う場合はコンテなどなくても好きに撮って後から編集すれば良いと思います。編集の仕方だけで違ったものになるのでそれも楽しみのひとつだと思います。
編集ソフトについて
無料のものもあり、すべてを比較したわけではないのですが、一般的によく使われているのが、Adobe Premiere Proです。Macの場合、iMovieというソフトが最初から入っていてシンプルな動画なら簡単に編集できます。ただ簡易的な編集ソフトなので制約も多く、少し凝ったことをしたい場合はトラック数が少なく不満が出て来ます。iMovieの上位にFinal Cut Pro Xがあり、これはプロユースでもあるのであらゆることができユーザーも多いです。ただ個人的にはPremiere Proをおすすめします。ユーザーが多いため、ネット上に情報が多いのと操作が軽いためです。それとFinal Cut Pro XはMacでしか使えませんが、Premiere ProはMacでもWindowsでも使えます。YouTuberの間でも圧倒的にPremiere Proが多いようです。欠点は少しお金がかかることです。
動画のソフトの画面や操作は似通っていることが多いので、無料のソフトで始めて必要になってからPremiere Proなどに変えても良いと思います。

編集素材について
動画をSNSなどインターネットで公開する場合には、著作権などに留意する必要があります。特にBGMに好きなCDの音楽を勝手に使うのは法律違反になります。
BGMは無料で使える素材を配信しているサイトがあるので、その中から選ぶと良いと思います。かなり種類が多いので良いものが見つかると思います。音楽に詳しい方なら、Macに無料でついてくるGaragebandを使いループの組み合わせだけでオリジナルのBGMがつくれてしまったりします。スマホのアプリでも簡単に音楽が作れるものがありますね。
<参考情報>
著作権というのは創作物や著作物に自然発生します。自分で撮った写真や動画、編集した動画、文章、絵などは、どこかに届けなくても自然に著作権が発生し、誰かに譲渡しない限り著作権は保持されます。誰かに無許可で使われると差し止めることができます。
また、著作権と使用権は異なります。著作権フリーという素材は使用権を得ているだけで著作権そのものを得たわけではありませんので注意が必要です。詳しくは弁護士さんや法務局のサイトでご確認ください。
動画の規格
動画の規格というのは決まっています。今は、インターネットにアップできる動画は1920×1080pixです。タテヨコは、アップするサイトによって違います。カメラで撮る時も基本的にはこの比率になります。昔のビデオの比率や映画の比率で撮ることもできますが、再生する機器やインターネットの規格が1920×1080pixですので余白部分は黒くなります。映画のように横長にしたいときは、編集テクニックを使います。追って別の記事でご紹介します。


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